鳥羽市の農地転用は、申請先も許可を出すのも鳥羽市農業委員会です。ただし鳥羽市は、申請の締切日も総会の予定日も公表していません。公表しているのは議事録です。令和2年から令和8年まで65回ぶんが載っています。当サイトはそのうち直近23回を読んで開催日を数えました。開催の間隔は21日から120日まで開いていました。「翌月の総会にかかる」という前提が、鳥羽市では成り立たないことがあります。
このページには、鳥羽市だから違うことだけを書いています。
制度そのもの(4条と5条のちがい、罰則、許可が下りたあとの報告)は → 三重県の農地転用|申請先と29市町の件数
鳥羽市は「市が許可を出す市」です
三重県では、19市町が全ての農地について転用許可の権限を県から移されています(指定市町村)。鳥羽市はそこに入ります。
つまり、申請書を出す先も、許可を出す先も、鳥羽市農業委員会(農林水産課 農林係・0599-25-1231)です。県へ回りません。
⚠ 同じ三重県内でも、菰野町やいなべ市では許可を出すのは三重県知事で、工程がまるごと違います。
🔴 締切も総会予定も公表されていません。あるのは議事録です
当サイトが調べた17市町のうち、16市町は締切日か総会日のどちらか(多くは両方)を公表しています。
鳥羽市はどちらも公表していません。
そのかわり、鳥羽市は農業委員会の議事録を公開しています。
令和2年から令和8年まで、65回ぶんです。
★これは「予定は分からないが、実績は全部分かる」という状態です。
そこで当サイトは、令和6年1月から令和8年6月までの23回を読んで、開催日・会議時間・議案の数を数えました。
🔴 開催の間隔は21日から120日まで開いていました
| 数えた回数 | 23回(令和6年1月19日〜令和8年6月23日) |
| 開催の間隔 | 21日〜120日 |
| 2か月以上あいた回数 | 5回 |
★とくに大きいのが、令和6年11月19日から令和7年3月19日までの120日です。
この間、総会は開かれていません。
なぜ「掲載漏れではない」と言えるかというと、議事録の回の番号が連番で欠けていないからです。
| 年 | 公表されている議事録 |
|---|---|
| 令和6年 | 第1回〜第10回(1月19日〜11月19日)。欠番なし |
| 令和7年 | 第1回〜第8回(3月19日〜11月20日)。欠番なし |
| 令和8年 | 第1回〜第5回(1月20日〜6月23日)。欠番なし |
★令和7年は「第1回」が3月19日です。1月と2月に総会が開かれていれば、そこが第1回・第2回になるはずです。
★令和6年は第10回(11月19日)が最後で、12月の回がありません。
⚠ ただし、これは公表されている議事録から読み取れることです。掲載の運用が変わる可能性はあります。
★実際の日程は、鳥羽市農業委員会(0599-25-1231)に直接ご確認ください。このページは「予定を当てにできない」ということを示すためのものです。
だから、鳥羽市では逆算のしかたが変わります
他の市町なら「締切に間に合えば、2週間〜1か月後の総会」と見込めます。
| 市町 | 締切から総会まで |
|---|---|
| 名張市 | 14〜18日 |
| 東員町 | 14〜19日 |
| 玉城町 | 27〜33日 |
| 鳥羽市 | ★締切が公表されていないため、逆算できない |
→ 鳥羽市の案件では、決済日や着工日を先に決めないでください。
先に農業委員会へ電話して、次の総会の予定と締切を聞く。これが最初の一手になります。
議事録から分かる、鳥羽市の総会のかたち
23回を数えた結果です。
| 会議の長さ | 20分〜110分 |
| 1回あたりの議案 | 1件〜7件 |
| 出席委員 | 8〜12名 |
| 開始時刻 | 23回のうち21回が午前10時(残る2回は午後1時・午後1時30分) |
★議案が1件でも80分かかった回があります。議案の数だけで会議の長さは決まりません。
(東員町では、現地確認の有無で会議時間がきれいに分かれていました。鳥羽市はそこまで単純ではありません。)
★23回の議案の内訳は、農地法5条が28件、3条が21件、非農地証明が9件、4条が3件、国土調査に関するものが3件でした。
転用(4条・5条)だけでなく、権利移動(3条)や国土調査に伴う地目変更も同じ総会にかかります。
🔴 「継続審議」になった案件があります
当サイトがこれまで読んだ市町の議事録では、農地転用の議案はすべて原案のとおり承認されていました。
東員町は12回すべてが「原案のとおり許可」です。
鳥羽市の令和7年第1回(令和7年3月19日)に、そうではない議案があります。
議事結果 継続審議
造成のために、よそから土を持ち込む計画でした。議事録に残っている委員のやりとりです。
(5番)入れる土の量がどれくらいになるのかは確認してもらいたいです。
(推進2番)50年程前から荒れているような土地です。土を埋めたことにより、ワカメやヒジキ等に被害が出ないよう業者に念押ししてもらいたいです。
(会長)申請地の下の方で漁業をされている方達が納得するような説明と工事をしてもらいたいです。
(1番)造成する土を他所から持ってくるのは問題があると思います。産業廃棄物である建設残土を処分場ではない土地へ埋めることには疑問が残ります。また、廃棄物検査は現地で行うだけでなく、県内に持ち込まれてから改めて行う必要があると思います。
(8番)持ち込まれる残土が正しく検査された物なら問題ないと思いますが、そうではない可能性があるので、今回問題になっているのだと思います。そこの議論をしないと、承認の可否は判断できないです。
★注目すべきは、この案件がすでに三重県農業会議の諮問を通っていたことです。
(8番)県農業会議の諮問はどのような内容でしたか。
(事務局)事務局が諮問会議に出席して説明と質疑応答を行い、承認を得ました。
県の会議で承認を得ていても、市の農業委員会で継続審議になっています。
★ここから読み取れること
| # | |
|---|---|
| 1 | 農地転用の審査は、書類が揃っていれば通るというものではありません。残土の由来と検査、周辺への影響が問われています |
| 2 | 鳥羽市では「海」が判断材料に入ります。申請地の下で漁業が営まれていれば、ワカメやヒジキへの影響が議題になります |
| 3 | 県の諮問を通っていても、市で止まることがあります。工程表に「県の承認が下りたから大丈夫」と書かないでください |
★造成に使う土をどこから持ってくるかは、建設工事そのものの話です。
鳥羽市で農地の造成を請け負うなら、残土の出どころと検査の記録を、申請の段階で説明できるようにしておくことになります。
許可より先に工事を始めていた案件も残っています
令和7年第6回(令和7年8月20日)の議事録です。
(推進5番)現地調査写真のとおり、すでに工事が始まった状態でした。
(事務局)…今のところ、この建物については工事の届は出ていない、とのことです。順番が入れ替わっていますが、これから許可が下り、それから手続きがされると考えています。
★「順番が入れ替わっています」と事務局が言っています。
基礎ができている状態で、転用の許可がまだ下りていない、ということです。
無許可の転用は、農地法がはっきり罰則を定めています。
| 本人 | 3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金(農地法第64条第1号) |
| 法人 | 1億円以下の罰金(同法第67条第1号) |
| 土地 | 許可の取消し・工事の停止・原状回復その他の是正措置を命じられることがある(同法第51条第1項) |
★同じ回では、転用目的が「事業所の社宅として使用」なのに個人名義で申請が出ていたことも指摘されています。
委員から「事務局で申請を受理するときに気を付けてもらいたい」と発言が残っています。
⚠ 誰の事業として使うのかと、誰の名前で申請するのかがずれていると、審査で止まります。
太陽光発電について、議事録で確認されていること
令和7年第1回では、太陽光発電の案件が続けて審議されています。実務で効く応答が2つ残っています。
(4番)出力を増やしていくこともあり得ますか。その場合、別に申請が必要ですか。
(事務局)出力が50kwを超える事業ですと別の枠組みになりますので、申請が必要です。(4番)例えば、事業者が2反の土地を取得し、まず1反について転用申請を行い、後日残りの1反について転用申請を行って許可された場合、合算されるのですか。
(事務局)合算ではなく、個別の事業と考えます。
★また、発電出力が同じでも必要な土地面積は大きく異なる、という説明もあります。
セットバックや土地の状態でパネルの設置枚数が制限されるためです。
⚠ この2つは鳥羽市の事務局の説明であって、条文そのものではありません。
★亀山市は太陽光についてFIT/非FITの区別や営農型の4パターンを文書で公表しています。そちらは市の公表資料です。
★もうひとつ、複数の議案で繰り返し出てくるのが農道です。
(1番)以前から工事に伴う農道の破損が課題としてありますので、事業者にはしっかりと対応してもらいたいです。
工事車両が農道を傷めることが、鳥羽市では継続的な論点になっています。
🔴 許可が下りても、着工できるとは限りません
鳥羽市には「鳥羽市民の環境と自然を守る条例」があります。
農地転用の許可とは別に、市長への届出が要る場合があります。
| 対象になる場所 | 用途地域の外(都市計画法第8条第1項第1号の用途地域外) |
| 対象になる規模 | 面積1,000㎡以上の宅地の造成その他の土地の区画形質の変更 |
| いつまでに | ★着工30日前までに「土地開発行為届出書」を提出 |
| 添付書類 | ★最大42種類 |
| そのあと | 地域住民等説明会の開催/★自然保護協定の締結 |
★市はガイドラインで、こう注意しています。
着工30日前までに「土地開発行為届出書」の提出となっていますが、その30日間で地域住民等への理解を求めていただく必要があるため、その日数も考慮して、早めの提出をお願いします。
★説明会の相手として市が挙げているのは、町内会・自治会、周辺の住民、鳥羽磯部漁協とその支所、周辺の漁業者、周辺の農業者、観光協会、影響が想定される観光業者などです。
上の継続審議の議事録で漁業への影響が問われたことと、地続きの話です。
★届出書は、市の関係7課(建設課・企画財政課・農水商工課・観光課・生涯学習課・消防本部・水道課)と調整のうえ市長決裁を受けます。
届出を省略できる場合もありますが、協定は残ります
次のいずれかに当たるときは、届出を省略できます。
- 都市計画法第29条第1項・第2項の許可を要するもの
- 三重県宅地開発事業の基準に関する条例第6条第1項の確認を要するもの
- 鳥羽市風致地区内における建築等の規制に関する条例第2条第1項の許可を要する面積3,000㎡以上のもの
- 鳥羽市における再生可能エネルギー発電事業と自然環境等の保全との調和に関する条例第3条第1項に該当し、同条例第7条第1項の調整を要するもの
★ただし市はこう書いています。
上記に該当し、届け出を省略した場合でも市との自然保護協定を締結する必要がある。
⚠ 鳥羽都市計画区域は2,142haです(三重県「都市計画区域決定状況」令和6年1月4日現在)。
用途地域はその内側の一部に指定されるものなので、市域の多くは「用途地域の外」に当たります。
★1,000㎡(約10アール)は、農地の転用ではめずらしい規模ではありません。
鳥羽市には市街化区域がありません
鳥羽市は鳥羽都市計画区域(2,142ha)に含まれますが、これは「区域区分の無い都市計画区域(用途地域有り)」です。
★区域区分(線引き)がされていないので、市街化区域も市街化調整区域もありません。
このため、鳥羽市では「市街化区域だから届出で済む」という道がありません。
農地法が届出で足りるとしているのは市街化区域内の農地です(第4条第1項第7号・第5条第1項第6号)。
★統計もそのとおりです。令和5年の鳥羽市の農地転用32件は、32件すべてが許可で、届出は0件でした。
⚠ 「用途地域があるから市街化区域だろう」は成り立ちません。別の制度です。
玉城町・名張市も同じ形(線引きなし・用途地域あり)です。
鳥羽市の農地転用は年間何件ですか?
令和5年は32件です。三重県29市町のなかで17番目に多い市です。
| 区分 | 鳥羽市 | 三重県計 |
|---|---|---|
| 農地法4条 許可(自己転用) | 3 | 172 |
| 農地法5条 許可(転用目的の売買・貸借) | 29 | 1,840 |
| 市街化区域内の届出 | 0 | 804 |
| 合計 | 32 | 2,816 |
⚠ 令和4年は8件でした。令和5年は32件で、4倍です。
理由は当サイトでは確認できていません。単年の増減なので、傾向とは言えません。
★市町単位の年間件数は、この規模だと数件〜数十件の増減がふつうに起きます。1年の数字だけで「増えている」と読まないでください。
出典は農林水産省「農地の権利移動・借賃等調査」確報 第7編 市町村別編(令和5年)です。推計ではなく実数です。
建設業をしている方へ
鳥羽市は、当サイトが調べた17市町のなかで、いちばん工程が読みにくい市です。
| 気をつけること | |
|---|---|
| 総会の日程が読めない | 締切も予定も公表されていない。間隔が120日開いた実績がある |
| 造成の土 | 建設残土の持ち込みが継続審議になった実例がある。出どころと検査の記録を用意する |
| 条例の届出 | 用途地域外で1,000㎡以上なら着工30日前まで。住民説明会と自然保護協定が要る |
| 農道 | 工事車両による破損が、議事録で繰り返し論点になっている |
| 海 | 申請地の下で漁業が営まれていれば、影響が審議される |
★「農地転用の許可が下りたから着工できる」は、鳥羽市では成り立ちません。
条例の届出が着工30日前まで、しかもその30日で住民説明を済ませる想定です。
★工期を組む前に、その土地の地目を登記で確かめ、用途地域の内か外かを市に確認してください。
現況が草地でも、登記が「田」「畑」なら農地法の対象になりえます。
鳥羽市の農地転用に対応している行政書士事務所
現在、掲載事務所を募集しています。
事務所をお探しの方は、三重県行政書士会の会員検索をご利用ください。
当サイトについて: 当サイトは行政書士事務所の情報を掲載しているものであり、
紹介・あっせんを行うものではありません。掲載にあたっては、
所属する行政書士会と登録番号を明記しています。
また、事務所同士の優劣比較やランキングは行いません。
よくある質問
Q. 鳥羽市の農地転用は、どこに出しますか?
A. 鳥羽市農業委員会(鳥羽市役所 農林水産課 農林係・0599-25-1231)です。許可を出すのも鳥羽市農業委員会です。鳥羽市は指定市町村なので、県へは回りません。
Q. 申請の締切はいつですか?
A. 鳥羽市は締切日を公表していません。総会の予定日も公表していません。必ず農業委員会にご確認ください。
Q. 総会は毎月開かれますか?
A. 毎月ではありません。当サイトが議事録23回(令和6年1月〜令和8年6月)を数えたところ、開催の間隔は21日から120日まで開いていました。令和6年11月19日の次は令和7年3月19日です。議事録の回の番号は連番で欠けていないので、掲載漏れではなく開催がなかったと読めます。
Q. 申請すれば許可されますか?
A. そうとは限りません。令和7年3月19日の総会では、造成のために土を持ち込む案件が継続審議になっています。この案件は三重県農業会議の諮問をすでに通っていました。残土の出どころと検査、周辺の漁業への影響が論点になっています。
Q. 農地転用の許可が下りたら、すぐ着工できますか?
A. できないことがあります。鳥羽市には「鳥羽市民の環境と自然を守る条例」があり、用途地域の外で1,000㎡以上の区画形質の変更をする場合は、着工30日前までに市長へ届け出ます。添付書類は最大42種類で、地域住民等説明会と自然保護協定の締結が求められます。
Q. 条例の届出を省略できる場合はありますか?
A. あります(都市計画法29条の許可を要するものなど4つの類型)。ただし省略した場合でも、市との自然保護協定の締結は必要と市が明記しています。
Q. 太陽光発電のために農地を転用したいのですが。
A. 議事録では、出力50kwを超えると別の枠組みになり申請が必要、分割して申請した場合は合算ではなく個別の事業として扱うという事務局の説明が残っています。ただしこれは総会での応答であり、市の公表資料ではありません。個別の計画は市にご確認ください。
⚠ 市町によって扱いが違います。御浜町は、指導要綱の条文で「実質的に同一と認められる事業者が一体的に設置する場合は合計出力を合算する」と定めています。すでに工事が完了している土地の近接地も対象です。
Q. 市街化区域内なら届出で済みますか?
A. 鳥羽市には市街化区域がありません。鳥羽都市計画区域(2,142ha)に区域区分(線引き)がされていないためです。令和5年の届出も0件でした。鳥羽市の転用はすべて許可です。
Q. 手数料はいくらですか?
A. 鳥羽市は農地転用の手数料を公表していません。(県内で「無」と明記しているのは桑名市です。)