本サイトはPRを含みます

建設業許可の承継|事業譲渡・合併・相続

令和2年10月1日から、建設業許可は「認可」を受けることで引き継げるようになりました。譲渡・合併・分割は効力が発生する前に、相続は死亡後30日以内に認可を申請します。認可を受けると、許可の有効期間は残りの期間にかかわらず承継の日の翌日から5年に切り替わります。

それまでは、事業を引き継いでも許可は引き継げませんでした。

引き継ぐ側が新規(9万円)で取り直すしかなく、許可が下りるまでの空白期間が生まれます。
その間は500万円以上の工事を請け負えません。

令和2年10月1日の改正で、この空白がなくなりました。


何が変わりましたか?

改正前 令和2年10月1日から
手続き 引き継ぐ側が新規申請 事前の認可
許可の空白 生じる(審査が終わるまで) 生じない(承継の日に地位を承継)
許可番号 新しい番号 被承継人の番号を引き継げる
経営事項審査の結果 引き継げない 引き継げる

「建設業者としての地位を承継する」とは、許可を受けたことで発生する権利と義務の総体を引き継ぐという意味です。
承継した人は、被承継人とまったく同じ立場に立ちます。


4つの類型と、認可を受ける相手

類型 いつ認可を受けるか 根拠
譲渡及び譲受け あらかじめ(効力発生前) 建設業法第17条の2第1項
合併 あらかじめ 同条第2項
分割 あらかじめ 同条第3項
相続 死亡後30日以内に申請 建設業法第17条の3第1項

認可をするのは、国土交通大臣または都道府県知事です。

被承継人 承継人 認可するのは
大臣許可 — 国土交通大臣
知事許可 同じ県の知事許可、または許可なし その都道府県知事
知事許可 大臣許可 国土交通大臣
知事許可 別の県の知事許可 国土交通大臣

★知事許可どうしでも、県が違えば大臣が認可します(法第17条の2第1項2号ロ)。
→ 知事許可と大臣許可のちがい


🔴 認可を受けると、5年が切り替わります

これを知らずに承継すると、更新の時期を読み違えます。

承継後の許可の有効期間は、承継の日における残りの期間にかかわらず、承継の日の翌日から起算されます(建設業法第17条の2第7項)。

例:残り3年8か月の許可を持つ会社を、6月1日に承継した場合

  旧:令和8年6月1日時点で 残り3年8か月
  新:令和8年6月2日から5年間  ← ★残っていた期間は関係なく、そこから5年

★これは得な場合も損な場合もあります。
残り数か月だった許可は5年に伸びますが、承継人が別に持っていた許可も同じ日に起算し直されるため、
「更新したばかりの許可が、承継によって起算日ごと動く」ということが起こります。

⚠ 承継の日そのものは、まだ旧許可が有効です。 そのため三重県では、認可通知書に「5年+1日」の期間が記載されます。
末日が日曜日などの休日でも、その日で満了します。

→ 建設業許可の更新


🔴 「全部」でなければ承継できません

承継できるのは、許可を受けている建設業の全部です。

一部の業種だけを引き継ぐことはできません。
どうしても一部だけを移す場合は、被承継人がその許可を廃業し、承継人が新規で取り直すことになります。
=空白期間が生じ、手数料も新規(9万円)になります。

→ 建設業許可の新規申請|流れと必要書類


何が承継され、何が承継されないか

承継されるか
建設業の許可(許可番号を含む) される
経営事項審査の結果 ★される
監督処分 ★される(受けた処分もそのまま引き継ぎます)
罰則(刑罰) されない(違反行為をした法人・個人そのものに科されるため)

★「経審の結果も承継される」は、公共工事を受注している会社にとって大きな意味があります。
点数を積み上げた会社を承継すれば、その評価がそのまま使えます。

→ 三重県の経営事項審査|手数料と審査会場


承継する側が要件を満たしていることが必要です

認可では、新規許可と同じ基準が審査されます。

一般建設業を承継する場合は第7条・第8条、特定建設業を承継する場合は第8条・第15条が準用されます
(建設業法第17条の2第4項、第17条の3第3項)。

つまり、承継する側が次を満たしている必要があります。

要件 記事
経営業務の管理責任者 → 経営業務の管理責任者(経管)の要件
営業所技術者(旧・専任技術者) → 専任技術者(営業所技術者)の要件
財産的基礎 → 建設業許可の財産的基礎500万円の証明方法
欠格要件に該当しないこと → 建設業許可の欠格要件

★「引き継ぐだけだから要件は不要」ということはありません。
被承継人の経管や技術者が承継後も在籍するのか、人の手当てが承継の可否を決めます。


相続の場合は「30日以内」です

建設業者である個人事業主が亡くなった場合、相続人は死亡後30日以内に認可を申請しなければなりません(建設業法第17条の3第1項)。

★申請さえしていれば、空白は生じません。
死亡の日から、認可を受ける日または認可をしない旨の通知を受ける日までは、被相続人への許可は相続人にしたものとみなされます(同条第2項)。

項目 内容
期限 死亡後30日以内に申請
相続人が複数いるとき 全員の同意で、建設業の全部を承継する1人を選びます(同条第1項)
申請に添える書類 続柄を証する戸籍謄本等/申請者以外の相続人全員の同意書(自署で住所・氏名)
申請しなかった場合 通常の新規申請になり、許可の空白期間が生じます

⚠ 30日はあっという間です。 葬儀と並行して、戸籍と相続人全員の同意書を集めることになります。
亡くなった時点で、まず窓口に一報を入れてください。


三重県の場合(手続きの実務)

ここから先は、三重県知事許可の場合の運用です。 他県では異なることがあります。

項目 内容
★手数料 不要(0円)。新規申請の9万円と比べて、ここが最も大きな差になります
提出先 承継人の主たる営業所を管轄する建設事務所の総務・管理(・建築)室 総務課(県内10か所)
審査期間 概ね1か月半程度(補正に要した期間は含みません)
電子申請 ★使えません。三重県の電子申請(JCIP)は「認可申請等、一部手続きを除く」とされています
事前の打ち合わせ 早めに申し出て、事前に打ち合わせを行うこととされています
公共工事の契約中案件 発注者にも時期をみて承継の事実を知らせるよう案内されています

→ 三重県で建設業許可を取るには(建設事務所10か所の一覧)/電子申請(JCIP)の使い方

🔴 ★申請できるのは「効力発生の90日前〜45日前」だけです

譲渡・合併・分割の認可申請には、三重県では次の条件があります。

認可申請の時点で
 ・契約の効力発生が まだ来ていない       …… 事後の申請はできない
 ・効力発生までに 45日以上 残っている     …… 直前すぎると受け付けられない
 ・効力発生までに 90日以上 は残っていない  …… 早すぎても受け付けられない

★つまり、申請できる窓は「効力発生日の90日前から45日前まで」の約45日間です。

早すぎると受け付けられない理由も示されています。申請書類の記載事項に変更が生じる場合があるためです。

⚠ 承継日を決めてから逆算しないと、この窓を外します。
契約書に効力発生日を書く段階で、すでに手続きが始まっていると考えてください。

許可番号はどうなりますか(三重県の運用)

原則として、被承継人の許可番号が付与されます。
ただし承継人がすでに建設業者である場合は、承継後に使う許可番号を選べます(申請時の意向確認書で確認されます)。

認可を受けたあとにも提出物があります

いつまで 何を
認可を受けた日から2週間以内 健康保険等の加入状況(様式第7号の3)と、届書を提出したことを証する書面
認可を受けた日から30日以内 合併により新設された法人・新設分割で設立された法人は、営業の沿革(様式第20号)/所属建設業者団体(様式第20号の2)/登記事項証明書

⚠ 誓約したとおりに社会保険の届書が提出されないと、許可基準を満たさないことになり、取消し事由に該当します。


認可にあたらない承継(法人成り・高齢による引き継ぎ)

個人事業主が法人を作って事業を移す「法人成り」や、高齢を理由に家族へ引き継ぐ場合は、認可申請の対象になりません。

この場合は新規の許可申請になり、許可番号も承継されません。

ただし三重県では、次の要件をすべて満たす場合、別人格であっても同一の営業体とみなし、
事業の空白ができるだけ生じないよう配慮するとされています。

法人成りの場合(7つすべて)

要件
1 新設法人における旧事業主の地位が常勤の役員であり、認可申請によらないこと
2 旧事業主が新設法人の最大の株主または出資者であること
3 法人設立日から許可を受ける日の前日まで、新設法人に請負契約の実績がないこと
4 主たる営業所の所在地が承継の前後で同一であること
5 新規申請の経営業務の管理責任者が、旧事業主のときと同じ人であること
6 旧事業主の許可の有効期間満了の日の30日前までの新規申請であること
7 新設法人として許可要件をすべて満たしていること

高齢・病気などによる引き継ぎの場合(6つすべて)

要件
1 承継の事由が旧事業主の老齢・病気等によるもので、認可申請によらないこと
2 新事業主が旧事業主の配偶者・子・親であること(該当者が複数いるときは他の人の同意が必要)
3 屋号または商号が承継の前後で同一であること
4 主たる営業所の所在地が同一であること
5 旧事業主の許可の有効期間満了の日の30日前までの新規申請であること
6 新事業主として許可要件をすべて満たしていること

「老齢」に年齢の制限はありませんが、今後建設業を継続する見込みがないことが前提です。

🔴 ただし、旧事業主が亡くなった場合はこの扱いではありません。
相続の認可(死亡から30日以内)です。認可によらなければ、空白期間が生じます。


建設業許可に対応している行政書士事務所

現在、掲載事務所を募集しています。

三重県の事務所をお探しの方は、三重県行政書士会の会員検索をご利用ください。

当サイトは行政書士事務所の情報を掲載しているものであり、紹介・あっせんを行うものではありません。


よくある質問

Q. 認可の手数料はいくらですか?
A. 三重県では、認可申請にあたって手数料の納付は不要です。新規申請の9万円と比べると、この差は大きくなります。→ 建設業許可の費用

Q. 許可番号は引き継げますか?
A. 認可を受ける場合は、被承継人の許可番号が付与されます。承継人がすでに建設業者である場合は、どちらの番号を使うかを選べます(三重県の運用)。一方、法人成りのように認可申請にあたらない場合は新規申請となり、許可番号は承継されません。

Q. 承継すると、有効期間はどうなりますか?
A. 残っていた期間にかかわらず、承継の日の翌日から5年間になります(建設業法第17条の2第7項)。承継の日も旧許可が有効なため、三重県の認可通知書には5年+1日の期間が記載されます。

Q. 一部の業種だけを引き継げますか?
A. できません。許可を受けている建設業の全部が対象です。一部だけ移す場合は、廃業のうえ新規申請になります。

Q. 経営事項審査の点数は引き継げますか?
A. 引き継げます。建設業者としての地位を承継するため、経審の結果も当然に承継されます。同じ理由で、受けていた監督処分も承継されます。

Q. 前の会社の罰金刑も引き継ぐことになりますか?
A. 刑罰は承継されません。罰則は違反行為を行った法人・個人そのものに科されるものだからです。ただし監督処分は承継されます。

Q. 電子申請(JCIP)で認可申請はできますか?
A. 三重県では対象外です。電子申請の案内に「認可申請等、一部手続きを除く」と明記されています。

Q. 父(個人事業主)が亡くなりました。何から始めればいいですか?
A. まず管轄の建設事務所へ連絡してください。相続の認可申請は死亡後30日以内です。相続人が複数いる場合は、全員の同意で承継する1人を決める必要があります。なお、被相続人の死亡日前日までの決算変更届は、法定の期限内に提出が必要です。