500万円未満の工事しかしていなくても、建設業許可は取れます。要件を満たしていることが条件です。ただし取得までには、着手から2〜4か月かかります。期日を切られている場合は、まず「要件を満たしているか」を最優先で確認してください。
「今まで許可なしでやってきたのに、急に求められた」
近年この相談が増えています。工事の金額とは関係なく、取引の条件として許可を求める元請が増えているためです。
この記事は、期日が迫っている方を想定して書いています。確認する順番から入ります。
まず、この順番で確認してください
| 順 | 確認すること | できなければ |
|---|---|---|
| 1 | 元請から示された期日はいつか | — |
| 2 | 5年以上の経営経験を証明できる人がいるか | ここが無理なら許可は取れません(体制を組む方法はあります) |
| 3 | 営業所技術者(旧・専任技術者)を置けるか(資格 or 実務経験10年) | 同上 |
| 4 | 社会保険に加入しているか | 未加入なら加入手続きから。数か月上乗せ |
| 5 | 自己資本500万円 or 預金500万円があるか | 直前4週間以内の残高証明で対応可 |
2と3で止まる会社が大半です。
逆にこの2つがクリアできていれば、あとは書類の作業なので期間が読めます。
500万円未満の工事しかしていませんが、許可は取れますか?
取れます。
建設業許可は「500万円以上の工事を請け負うために必要なもの」ですが、
500万円未満の工事しかしていない事業者が取ってはいけない、というルールはありません。
要件(経営経験・技術者・財産的基礎・誠実性・欠格要件・社会保険)を満たしていれば、
実際の工事金額にかかわらず許可を受けられます。
なぜ元請は許可を求めるのですか?
主な理由は4つです。
| # | 理由 | 内容 |
|---|---|---|
| 1 | コンプライアンス強化 | 無許可業者と取引していると、元請側の管理体制が問われる。金額に関係なく許可業者に統一する方針の元請が増えている |
| 2 | 施工体制台帳の管理 | 公共工事や一定規模の民間工事では、下請の許可状況を台帳に記載する必要がある |
| 3 | 公共工事の受注要件 | 元請が公共工事を受注する場合、下請の体制も審査の対象になりうる |
| 4 | 社会保険加入の確認 | 建設業許可は社会保険への加入が要件。許可を持っている=社会保険に入っていることの証明になる |
つまり、元請は「許可そのもの」というより「きちんとした事業者であることの証明」を求めています。
許可を持つことは、今後の受注機会そのものを守ることにつながります。
取得までどれくらいかかりますか?
着手から2〜4か月です。
| 工程 | 期間の目安 |
|---|---|
| 要件の確認 | 1〜2週間 |
| 証明書類の取り寄せ(役員全員分) | 1〜3週間 |
| 申請書類の作成 | 2〜4週間 |
| 審査 | おおむね1〜2か月(三重県は概ね1か月半) |
★注意:審査期間には、書類の不備を直す補正の期間は含まれません。
補正のやり取りが2往復あると、それだけで1か月延びることがあります。
いちばん時間を取られるのは「証明書の取り寄せ」
「登記されていないことの証明書」と「身分証明書」は、対象者全員分が必要です。
役員が5人いれば5人分。しかも身分証明書は本籍地の市区町村でしか取れません。
遠方に本籍がある役員がいると、郵送で1〜2週間。
期日が迫っているなら、今日ここから着手してください。
期日に間に合わない場合はどうすればいいですか?
正直に元請へ相談してください。 そのうえで、次の材料を用意します。
| 用意するもの | 意味 |
|---|---|
| 申請の見込み時期(いつ申請するか) | 動いていることを示す |
| 審査期間の目安(都道府県の公表値) | 自社の努力ではどうにもならない期間があることを説明できる |
| 要件を満たしていることの確認結果 | 「取れる見込みがある」ことの根拠 |
「取ります」だけでは元請は動けません。「いつ取れるか」を示せると話が変わります。
逆に、要件を満たしていないことが分かった場合は、早く伝えるほうが被害が小さくなります。
経営経験や技術者の要件は、人を用意しなければ埋まりません。時間で解決しない種類の問題です。
いくらかかりますか?
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 申請手数料(知事許可・新規) | 90,000円 |
| 証明書類の実費 | 2,000〜8,000円 |
| 行政書士に依頼する場合の報酬 | 100,000〜200,000円 |
| 合計 | 9万円(自分で申請)〜29万円(依頼) |
★知事許可の手数料は、不許可でも返還されません。 要件を確認してから申請してください。
期日が切られている場合は、依頼を検討したほうが確実です。
補正のやり取りが減るぶん、結果的に早く取れることがあります。
許可を取ったあとに続くこと
許可は取って終わりではありません。
| 手続き | タイミング |
|---|---|
| 決算変更届 | 毎事業年度が経過してから4か月以内(毎年) |
| 更新 | 5年ごと(満了日の30日前までに申請) |
| 変更届 | 役員・営業所・技術者などに変更があったとき |
決算変更届を出し忘れると、5年後の更新ができません。
「取った後に何もしなくていい」と思っていると、更新のときに困ります。
お住まいの都道府県の情報
申請の窓口・審査期間・手数料の納付方法は、都道府県によって異なります。
| 都道府県 | ページ |
|---|---|
| 三重県 | 三重県で建設業許可を取るには |
※順次追加していきます。
よくある質問
Q. 元請が「うちが手続きしてあげる」と言っています。任せていいですか?
A. 申請の代行は行政書士の業務です。元請が手配してくれる場合でも、申請の内容と記載事項は自社で確認してください。 申請書に重要な事項の虚偽記載があると、欠格要件に該当するおそれがあります。→ 欠格要件
Q. 一人親方ですが、社会保険に入っていません。許可は取れますか?
A. 取れます。事業主のみの個人事業所は適用除外にあたり、加入しているものとみなして扱われます。→ 社会保険に入っていないと許可は取れない
Q. どの業種の許可を取ればいいですか?
A. 実際に請け負っている工事の内容で決まります。元請に「どの業種の許可が必要か」を確認してください。あとから業種追加すると別途5万円かかるため、必要な業種は最初にまとめて申請するのが得策です。→ 建設業29業種の一覧
Q. 許可を取ると、税金や社会保険の負担が増えますか?
A. 許可を取ったこと自体で税負担は変わりません。ただし社会保険が未加入で強制適用にあたる場合は、加入が必要になります。その分の負担は発生します。
Q. 許可を取れば、500万円以上の工事も請け負えますか?
A. 請け負えます。ただし許可を受けた業種の工事に限ります。また元請として5,000万円以上(建築一式は8,000万円以上)を下請に出す場合は、特定建設業の許可が必要です。→ 知事許可と大臣許可/一般と特定のちがい