建設業法第47条により、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金の対象になります。法人の場合は、行為者本人への処罰に加えて、法人にも1億円以下の罰金が科されます。さらに罰金以上の刑に処せられると、5年間は建設業許可を受けられなくなります。
この記事は、無許可営業を責めるためのものではありません。
実際には「知らないうちに超えていた」というケースが少なくありません。
材料支給を加算し忘れていた、消費税を入れると超えていた、工事を分割したつもりが合算された——判定を誤りやすい制度だからです。
まずいま自分がどの状態にあるかを確認し、そのうえで対応を考えてください。
罰則は、具体的にどうなっていますか?
建設業法第47条に定められています。
| 対象 | 罰則 |
|---|---|
| 無許可営業をした者 | 3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金(併科されることもあります) |
| その法人 | 1億円以下の罰金(両罰規定) |
「拘禁刑」は、2025年6月の刑法改正で懲役・禁錮を一本化したものです。
多くの解説記事がまだ「懲役」と表記していますが、現在は拘禁刑が正しい表記です。
罰金より重い「5年間許可が取れない」
実務上、罰金そのものより影響が大きいのはこちらです。
建設業法違反で罰金以上の刑に処せられると、その刑の執行が終わってから5年を経過するまで、建設業許可を受けられません(欠格要件・建設業法第8条)。
つまり、罰金を払って終わりではなく、5年間は許可の取得が閉ざされます。
さらにこの欠格要件は、法人の役員等・個人事業主本人・令3条の使用人(支店長など)に及びます。
役員の1人が該当するだけで、会社として許可を受けられなくなります。
発注した側(元請)にリスクはありますか?
あります。だから元請は、下請の許可の有無を厳しく確認します。
- 許可行政庁は、許可を受けないで建設業を営む者に対しても、必要な指示をすることができます(建設業法第28条)
- 建設業者が建設業法に違反した場合は、指示処分や営業停止処分の対象になります
- 元請は施工体制台帳で下請の許可状況を管理する必要があり、無許可業者が混じっていると体制そのものに問題が生じます
そのため実務では、取引の入口で許可の有無を確認されます。
近年は「500万円未満の工事しかしていないが、元請から許可を求められた」という相談が増えています。
これは元請側のコンプライアンス強化が背景にあり、金額に関係なく許可を持つ業者としか取引しない元請が増えているためです。
どういう経緯で発覚するのですか?
多くは、罰則以前に「取引の場面」で判明します。
| 経緯 | 内容 |
|---|---|
| 元請の与信・許可確認 | 契約前に許可番号の提示を求められる。最も多いパターン |
| 施工体制台帳の作成 | 公共工事や一定規模の民間工事では、下請の許可状況を記載する必要がある |
| 公共工事の入札 | 経営事項審査を受けられないため、そもそも参加できない |
| 労災事故の発生 | 事故調査の過程で施工体制が確認される |
| 通報 | 同業者や取引先からの情報提供 |
「見つからなければ大丈夫」という状態ではなくなってきている、というのが実態です。
許可の有無は行政庁が公開しているため、取引先が確認しようと思えばすぐ確認できます。
うっかり超えてしまいやすいのは、どんな場合ですか?
判定を誤りやすいのは、次の4パターンです。
① 消費税を入れ忘れた
500万円の基準は税込で判定します。税抜470万円の工事は、税込で517万円です。
税抜455万円あたりが分かれ目になります。
② 施主支給の材料を加算し忘れた
注文者が材料を支給する場合、材料費と運送費を請負代金に加えて判定します。
請負代金420万円+支給材料100万円=520万円で、許可が必要な工事になります。
③ 工事を分割した
1つの工事を2つ以上の契約に分けても、正当な理由がある場合を除き、合計額で判定されます。
→ 工事を分ければ許可は要らない?分割契約が違法になる線引き
④ 許可が失効していることに気づかなかった
更新を忘れて許可が切れた状態で受注すると、無許可営業にあたります。
→ 更新を忘れた・期限が切れたらどうなる?
判定の詳細は建設業許可はいくらから必要?500万円の基準で解説しています。
すでに請け負ってしまいました。どうすればいいですか?
自己判断で処理せず、専門家に相談してください。
ウェブの情報だけで判断するのは危険な領域です。契約の内容・進行状況・元請との関係によって、取るべき対応がまったく変わります。
そのうえで、一般論として言えるのは次のとおりです。
| 順 | やること |
|---|---|
| 1 | 契約書と請負金額を確認し、本当に基準を超えているかを検証する(税込か/支給材料はあるか/分割の有無) |
| 2 | 超えている場合、行政書士または弁護士に相談する。窓口への相談も選択肢 |
| 3 | 並行して、建設業許可の要件を満たしているか確認する |
| 4 | 要件を満たしているなら、速やかに許可を取得する |
3と4を急ぐ理由があります。 許可を取得すれば、少なくとも今後の受注は適法に行えます。
要件を満たしているのに未取得だった、というケースは実際にあります。
お住まいの都道府県の情報
許可の申請窓口と審査期間は、都道府県によって異なります。
| 都道府県 | ページ |
|---|---|
| 三重県 | 三重県で建設業許可を取るには |
※順次追加していきます。
よくある質問
Q. 500万円未満の工事しかしていませんが、許可は取れますか?
A. 取れます。要件を満たしていれば、軽微な建設工事しか請け負っていない事業者でも許可を受けられます。元請から求められて取得するケースが増えています。
Q. 過去に無許可で請け負った工事があります。今から許可を取れますか?
A. 罰金以上の刑を受けていなければ、欠格要件には該当しません。ただし個別の事情によりますので、申請前に窓口または行政書士にご確認ください。
Q. 一人親方でも罰則の対象になりますか?
A. なります。法人か個人かを問わず、許可なく500万円以上の工事を請け負えば建設業法違反です。
Q. 材料を自社で用意した場合も加算されますか?
A. 加算の対象は「注文者が支給した材料」です。自社で調達した材料費は、もともと請負代金に含まれています。
Q. 元請から「許可がなくても大丈夫」と言われました。
A. 元請の判断にかかわらず、許可が必要な工事を無許可で請け負えば建設業法違反です。責任を負うのは請け負った側です。