更新期限を過ぎると許可は失効し、更新(5万円)ではなく新規(9万円)として取り直しになります。ただし、失効前に締結した請負契約に係る工事は、完成まで施工できます。その場合、失効後2週間以内に注文者へ通知する義務があります(建設業法第29条の3)。
まず落ち着いて、いまがどの段階かを確認してください。対応がまったく変わります。
| いまの状況 | 対応 |
|---|---|
| 満了日まで30日以上ある | 間に合います。 通常どおり更新申請してください |
| 30日を切っているが、満了日はまだ先 | すぐ窓口へ電話を。 運用は都道府県によって異なります |
| 満了日を過ぎた | 失効しています。 下記の手順で対応してください |
更新の締切は、いつですか?
有効期間が満了する日の30日前までです。
「満了日まで」ではありません。30日前が締切です。ここを勘違いして間に合わなくなるケースが最も多くなっています。
なお、期限内に更新申請さえしておけば、有効期間が過ぎても、許可または不許可の決定があるまでは従前の許可が有効です(建設業法第3条第4項)。審査に1〜2か月かかっても営業できなくなることはありません。
30日前を過ぎてしまいました。もう無理ですか?
すぐに管轄の窓口へ電話してください。都道府県によって運用が異なります。
「30日前まで」は法令上の期限ですが、満了日前であれば相談に応じる自治体もあります。
一方で、原則どおり受け付けない自治体もあります。
ここは電話1本で結果が変わる場面です。 ウェブの情報で判断せず、必ず窓口に確認してください。
連絡先はお住まいの都道府県のページに掲載しています。
満了日を過ぎました。許可はどうなりますか?
失効します。 取り消されたわけではありませんが、効力を失います。
| 内容 | |
|---|---|
| 手続き | 更新(5万円)ではなく、新規(9万円) として申請し直し |
| 要件の証明 | 一からやり直し。経営経験・専任技術者・財産的基礎をすべて証明し直す |
| 許可番号 | 新しい番号になります(従前の番号は引き継げません) |
| 空白期間 | 新しい許可が下りるまで、500万円以上の工事を新たに請け負えません |
そして実務上いちばん重いのが、空白期間です。
新規申請は審査に1〜2か月かかるうえ、書類の準備にも時間がかかります。
その間、500万円以上の工事を新規に受注できません。
施工中の工事は、止めなければいけませんか?
止める必要はありません。ただし、注文者への通知義務があります。
建設業法第29条の3により、許可が効力を失う前に締結した請負契約に係る建設工事に限り、施工を続けることができます。
ただし条件があります。
許可が効力を失った後、2週間以内に、その旨を当該建設工事の注文者に通知しなければなりません。
この通知を怠ると、罰則の適用があります。
この「2週間以内の通知」を知らない事業者がとても多いところです。
失効に気づいたら、まず次の2つを同時に進めてください。
- 施工中の工事の注文者に、許可が失効した旨を通知する(2週間以内)
- 新規申請の準備を始める
なお、失効後に新たに締結する契約は対象外です。施工できるのは、あくまで失効前に契約済みの工事だけです。
★通知した後、注文者は契約を解除できます
ここが、失効でいちばん大きな損失につながる部分です。
建設業法第29条の3第5項は、注文者の側にこう定めています。
建設工事の注文者は、通知を受けた日(または許可が失効したことを知った日)から
30日以内に限り、その建設工事の請負契約を解除することができます。
つまり「工事は続けられる」で終わりではありません。
2週間以内に通知する義務があり、その通知を受けた注文者には、30日間の解除権が発生します。
施工を続けられるかどうかは、最終的に注文者の判断になります。
元請から契約を切られれば、その工事の売上そのものを失います。
手数料が5万円から9万円に上がることより、こちらのほうが金額が大きくなり得ます。
だからこそ、失効に気づいた時点で、通知と並行して速やかに新規申請の準備を始めてください。
なお、公益上必要と認められるときは、行政庁が施工の差止めを命じることもできます(同条第3項)。
失効に気づかず、500万円以上の工事を受注していました
無許可営業として、建設業法違反になります。
建設業法第47条により、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金の対象です。法人の場合は、1億円以下の罰金が科される可能性があります(両罰規定)。
さらに、建設業法違反で罰金以上の刑に処せられると、その執行が終わってから5年間は建設業許可を受けられません(欠格要件)。
すでに受注してしまっている場合は、自己判断で処理せず、行政書士や弁護士に相談してください。
→ 詳しくは許可なしで500万円以上を請けたらどうなる?
そもそも、なぜ更新を忘れるのですか?
理由はだいたい3つです。
① 更新のお知らせが届くとは限らない
更新案内を送付している自治体もありますが、送付は義務ではありません。
届かなかったことは、期限を過ぎた理由になりません。許可通知書に記載された有効期間を、自分で管理する必要があります。
② 決算変更届が未提出で、更新申請にたどり着けなかった
これが最も多いパターンです。
決算変更届は毎事業年度が終了してから4か月以内に提出する義務がありますが、これが何年分もたまっていると、更新申請の前にまとめて作る必要があります。
3年分あれば財務諸表の作成だけで1〜2か月。気づいたときには締切を過ぎている、という流れです。
③ 経営業務の管理責任者や専任技術者が退職していた
更新のタイミングで要件を満たさなくなっていたケースです。代わりの人が用意できず、更新できません。
いま、何をすればいいですか?
満了日を過ぎている場合、この順番で進めてください。
| 順 | やること | 期限 |
|---|---|---|
| 1 | 施工中の工事の注文者へ通知する | 失効から2週間以内 |
| 2 | 管轄の窓口へ連絡し、失効の扱いと必要な手続きを確認する | すぐ |
| 3 | 決算変更届の未提出分を確認し、すべて作成・提出する | 新規申請の前に |
| 4 | 経営業務の管理責任者・専任技術者が在籍・常勤か確認する | 新規申請の前に |
| 5 | 新規申請の書類を準備する(証明書の取り寄せに1〜2週間) | — |
| 6 | 新規申請(手数料9万円) | — |
1が最優先です。 期限が明確に決まっていて、怠ると罰則があるのはここだけです。
3〜5は書類の作業量が多く、自力では数か月かかることがあります。
空白期間を短くしたい場合は、この段階で行政書士に依頼することを検討してください。
→ 行政書士に頼むといくら?
お住まいの都道府県の情報
30日前を過ぎた場合の扱い、窓口の連絡先は都道府県によって異なります。
| 都道府県 | ページ |
|---|---|
| 三重県 | 三重県で建設業許可を更新するには |
※順次追加していきます。
よくある質問
Q. 失効した場合、廃業届は必要ですか?
A. 有効期間の満了による失効は、廃業とは扱いが異なります。ただし自治体によって求められる手続きが違うため、窓口にご確認ください。
Q. 許可番号は同じものに戻せますか?
A. 戻せません。新規申請となるため、新しい許可番号が付与されます。取引先へ通知している番号がある場合は、変更の連絡が必要になります。
Q. 失効中に、500万円未満の工事を請け負うことはできますか?
A. できます。軽微な建設工事(500万円未満/建築一式は1,500万円未満、いずれも税込)は、許可がなくても請け負えます。詳しくは建設業許可はいくらから必要?をご覧ください。
Q. 経営事項審査(経審)の結果はどうなりますか?
A. 許可が失効すると、経審の結果も効力を失います。公共工事の入札参加資格にも影響しますので、発注機関への確認が必要です。
Q. うっかり忘れただけなのに、救済措置はないのですか?
A. 有効期間の満了による失効に、期限を延長する制度はありません。有効期間の末日が休日であっても期限は延びません。期限管理を仕組みにしておくことが唯一の対策です。