本サイトはPRを含みます

主任技術者と監理技術者のちがい|現場に置く技術者

工事現場には技術者を置く義務があります。すべての工事に必要なのが「主任技術者」です。元請として直接請け負った特定建設業者が、下請に5,000万円(建築一式工事は8,000万円)以上出すときは、代わりに「監理技術者」を置きます。請負代金4,500万円(建築一式工事は9,000万円)以上の工事では、その技術者は現場に専任でなければなりません。令和6年の改正で、一定の条件を満たせば2つの現場までの兼任と、営業所技術者との兼務ができるようになりました。

まず整理:技術者には「営業所に置く人」と「現場に置く人」がいます

建設業許可の話で出てくる「技術者」は2種類あり、まったく別の制度です。 ここを混同したまま調べ始めると、必ず途中で分からなくなります。

営業所に置く技術者 工事現場に置く技術者
名称 営業所技術者(一般建設業)
特定営業所技術者(特定建設業)
※令和6年12月13日施行の改正前は「専任技術者」
主任技術者
監理技術者
根拠 法第7条第2号/法第15条第2号 法第26条
何のために置くか 許可を受けるための要件。契約の締結と履行の技術上の管理をする 工事を適正に施工するため。施工計画・工程管理・品質管理をする
いつ必要か 許可を受けている間ずっと 工事を施工するたび、その現場ごとに
求められる状態 その営業所に常勤 現場に配置。工事によっては専任

許可を取るときに考えるのが営業所技術者、取ったあと工事をするときに考えるのが主任技術者・監理技術者、と分けて覚えてください。

→ 専任技術者(営業所技術者)の要件|資格か、実務経験10年か


主任技術者は、すべての工事に必要です

建設業者が請け負った工事を施工するときは、必ず主任技術者を置かなければなりません(法第26条第1項)。

金額の下限はありません。 500万円未満の軽微な工事であっても、許可を受けた建設業者が施工する以上は必要です。

  • 元請でも下請でも必要です
  • 下請の会社は、その下請工事について自社の主任技術者を置きます
  • したがって1つの現場に、元請の技術者と各下請の主任技術者が並んで存在することになります

主任技術者になれる人の要件は、営業所技術者(一般建設業)と同じです(法第7条第2号イ・ロ・ハ)。つまり①国家資格等 ②その業種の実務経験10年以上 ③指定学科の卒業+実務経験(高卒5年・大卒3年)のいずれかです。

→ 建設業許可はいくらから必要?500万円の基準


監理技術者が必要になるのは、3つがそろったときだけ

主任技術者に代えて監理技術者を置くのは、次の3つを「すべて」満たす場合です(法第26条第2項)。

条件
① 発注者から直接請け負った工事であること(=元請)
② 特定建設業者であること
③ その工事のために結んだ下請契約の請負代金の総額が5,000万円以上(建築一式工事は8,000万円以上)であること

③の金額は「合計額」です。 下請契約が2つ以上あるときは、それらを足した額で判定します(法第26条第2項かっこ書き)。1件ごとの金額ではありません。

逆に言えば、次の場合は元請でも主任技術者のままで構いません。

  • 下請にまったく出さず、自社で施工する場合
  • 下請に出すが、総額が5,000万円(建築一式8,000万円)に届かない場合
  • 下請として工事に入っている場合(そもそも元請ではない)

⚠ この5,000万円/8,000万円は、特定建設業の許可が必要になる金額とまったく同じ数字です(どちらも建設業法施行令第2条)。「特定建設業の許可が要る場面=監理技術者が要る場面」と対応していると考えると整理しやすくなります。

⚠ 土木・建築・電気・管・鋼構造物・舗装・造園の7業種(指定建設業)では、監理技術者は国家資格者等に限られます(法第26条第2項かっこ書き、建設業法施行令第5条の2)。実務経験だけではなれません。

→ 知事許可と大臣許可/一般と特定のちがい


「専任」が必要になる工事は、思っているより広いです

一定の工事では、主任技術者・監理技術者は現場ごとに「専任」でなければなりません(法第26条第3項)。専任とは、その現場に常時継続的に関わることをいい、他の現場と掛け持ちできないという意味です。

対象は、建設業法施行令第27条が定める工事で、請負代金の額が4,500万円以上(建築一式工事は9,000万円以上)のものです。

★ここが最も誤解されている点です。「公共工事だけ」ではありません。

施行令第27条第3号には、次の施設に関する工事が並んでいます。

学校/図書館・美術館・博物館・展示場/社会福祉事業の施設/病院・診療所/火葬場・と畜場・廃棄物処理施設/集会場・公会堂/市場・百貨店/事務所/ホテル・旅館/共同住宅・寄宿舎・下宿/公衆浴場/興行場・ダンスホール/神社・寺院・教会/工場・ドック・倉庫/展望塔

事務所、共同住宅、店舗、ホテル、工場、倉庫——民間工事のほとんどが入っています。
第1号(国・地方公共団体が注文者)と第2号(道路・河川・上下水道・学校・庁舎など)と合わせると、実務上、除かれるのは個人住宅くらいというのが実態です。

→「うちは民間工事だから専任は関係ない」は、ほぼ成り立ちません。 4,500万円という金額のほうで判断してください。

なお、密接な関係のある2以上の工事を、同一の建設業者が同一または近接した場所で施工する場合は、1人の専任の主任技術者がまとめて管理できます(施行令第27条第2項)。


★令和6年の改正で、専任のルールが緩みました

技術者不足への対応として、専任の例外が3つ設けられました。 いずれも新しい制度なので、正確に押さえておく価値があります。

何ができるか 上限金額 現場の数 根拠
①遠隔での専任 ICTを活用して、主任技術者・監理技術者が複数の現場を兼任できる 1億円未満
(建築一式は2億円未満)
2現場まで 法第26条第3項第1号・第4項
施行令第28条・第30条
②監理技術者補佐 監理技術者補佐を専任で置けば、監理技術者自身は専任でなくてよい 上限なし 2現場まで 法第26条第3項第2号・第4項
施行令第29条・第30条
③営業所技術者との兼務 営業所技術者・特定営業所技術者が、現場の主任技術者・監理技術者を兼ねられる 1億円未満
(建築一式は2億円未満)
1現場まで 法第26条の5
施行令第33条・第34条

⚠ ①と③は無条件ではありません。 条文は「工事現場間の移動時間または連絡方法その他の施工体制の確保のために必要な事項に関し国土交通省令で定める要件に適合すること」「職務を情報通信技術を利用する方法により行うため必要な措置として国土交通省令で定めるものが講じられること」を求めています。カメラや通信環境の整備といった条件を満たして初めて使える制度です。

⚠ ③を使って監理技術者の職務を兼ねる特定営業所技術者は、監理技術者資格者証の交付を受け、かつ講習を受講している必要があります(法第26条の5第3項)。

★①と②は、どちらも2現場までですが、性質が違います。
①には請負代金1億円未満(建築一式は2億円未満)という上限がありますが、②にはありません。 大規模な工事で使えるのは②のほうです。
なお①と②を混ぜて使うことはできません(同一の技術者が、①を使った現場と②を使った現場を兼務することはできない)。

→ 監理技術者補佐とは|2現場を兼務できる制度


専任の監理技術者には、資格者証と講習が要ります

専任でなければならない監理技術者は、次の2つを満たす人から選任します(法第26条第5項)。

  1. 監理技術者資格者証の交付を受けていること
  2. 国土交通大臣の登録を受けた講習を受講していること

発注者から請求があったときは、資格者証を提示しなければなりません(同条第6項)。


技術者の職務は、条文に書かれています

主任技術者と監理技術者は、次の職務を誠実に行う義務があります(法第26条の4第1項)。

  • 施工計画の作成
  • 工程管理
  • 品質管理
  • その他の技術上の管理
  • 施工に従事する者への技術上の指導監督

現場で施工に従事する者は、主任技術者・監理技術者の指導に従わなければなりません(同条第2項)。

→ 名前だけを届け出て実際には現場を見ない、という運用は法律に反します。 監督処分の対象になり得ます。


型枠・鉄筋工事では、下請の主任技術者を省ける場合があります

「特定専門工事」に当たる場合、元請の主任技術者が下請の分まで兼ねることができ、下請は主任技術者を置かなくてよくなります(法第26条の3)。

条件
工事の種類 型枠の組立てに関する工事(大工工事またはとび・土工・コンクリート工事のうち)/鉄筋工事(施行令第31条第1項)
金額 元請が結んだ下請契約の総額が4,500万円未満(施行令第31条第2項)
元請の主任技術者 同種の工事で1年以上の指導監督的な実務経験があり、かつその現場に専任であること
手続き 元請と下請の書面(または電子)による合意+注文者の書面による承諾
制限 その下請は、工事を他人に請け負わせてはなりません(再下請の禁止)

お住まいの都道府県の情報

主任技術者・監理技術者の制度は建設業法で定められており、全国共通です。 ただし、配置を確認する書類の様式や、公共工事での運用は発注者ごとに異なります。

都道府県 ページ
三重県 三重県で建設業許可を取るには

※順次追加していきます。


よくある質問

Q. 営業所技術者と主任技術者を、同じ人が兼ねられますか?
A. 令和6年12月13日施行の改正で、条件を満たせば兼ねられるようになりました(法第26条の5)。請負代金1億円未満(建築一式は2億円未満)で、兼ねられる現場は1つまでです。国土交通省令が定める通信環境などの要件も満たす必要があります。

Q. 500万円未満の工事でも主任技術者は必要ですか?
A. 必要です。法第26条第1項に金額の下限はなく、許可を受けた建設業者が請け負った工事を施工するときは常に置きます。

Q. 監理技術者は誰でもなれますか?
A. 特定建設業の技術者要件(法第15条第2号)を満たす人に限られます。さらに土木・建築・電気・管・鋼構造物・舗装・造園の7業種(指定建設業)では、国家資格者等でなければなりません。実務経験だけではなれません。

Q. 「専任」とは現場に常駐するという意味ですか?
A. 条文は「専任」としか定めていません。常時継続的にその現場の職務に当たることを求めるもので、他の現場と掛け持ちできないという意味です。休暇や研修など合理的な理由による一時的な不在まで否定するものではありません。具体的な運用は発注者や許可行政庁の判断によります。

Q. 主任技術者を置かずに施工したらどうなりますか?
A. 建設業法違反として、指示処分や営業停止といった監督処分の対象になります。公共工事では指名停止につながることもあります。