知事許可と大臣許可/一般と特定のちがい|どちらを取ればいいか

建設業許可には2種類の区分があります。「知事許可か大臣許可か」は営業所の場所で決まり、工事の場所や規模とは関係ありません。「一般か特定か」は下請に出す金額で決まり、元請として5,000万円(建築一式は8,000万円)以上を下請に出すなら特定建設業が必要です。

この2つの区分はまったく別の話なのに、混同されがちです。
組み合わせると4パターンあります。

一般建設業 特定建設業
知事許可 いちばん多いパターン 県内に営業所があり、大型工事を元請する会社
大臣許可 複数県に営業所がある会社 全国展開する大手

順に見ていきます。


知事許可と大臣許可|営業所の場所で決まります

区分 条件
知事許可 1つの都道府県の区域内にのみ営業所を設けて建設業を営む場合
大臣許可 2つ以上の都道府県の区域内に営業所を設けて建設業を営む場合

★よくある誤解

「他県で工事をするなら大臣許可が必要」——これは誤りです。

知事許可でも、全国どこでも工事はできます。
三重県知事の許可を持つ会社が、愛知県や大阪府の現場で施工しても問題ありません。

区分を決めるのは「営業所をどこに置いているか」だけです。

「営業所」とは何ですか?

本店・支店・常時建設工事の請負契約を締結する事務所を指します。

建設業に無関係な支店、単に登記上の本店、事務連絡所、工事事務所、作業所などは該当しません。

営業所と認められるための要素は次のとおりです。

  1. 外部から来客を迎え入れ、建設工事の請負契約締結等の実体的な業務を行っている
  2. 電話・机・各種事務台帳等を備えた事務室が設けられている
  3. 契約の締結等ができるスペースがあり、居住部分や他法人・他の個人事業主とは間仕切り等で明確に区分されている
  4. 事務所としての使用権原を有している
  5. 看板・標識等で外部から建設業の営業所であることがわかるように表示している

「名刺に営業所と書いてあるだけ」では営業所になりません。
逆に、実態として契約を締結している場所は営業所にあたります。

申請先が変わります

区分 申請先
知事許可 都道府県(三重県の場合、主たる営業所を管轄する建設事務所)
大臣許可 地方整備局(三重県内に主たる営業所がある場合、国土交通省中部地方整備局 建設産業課 TEL 052-953-8572)

手数料も変わります。

知事許可 大臣許可
新規 9万円(許可手数料) 15万円(登録免許税)
更新 5万円 5万円
不許可のとき 返還されない 納付前なので発生しない

建設業許可の費用

営業所の場所が変わったら

知事許可を受けた者が、その県内の営業所を廃止して他県に営業所を設置する
または2つ以上の都道府県に営業所を持つことになった場合、
新たに許可を受け直す必要があります。これを「許可換え新規」といいます。

手数料は新規と同額(知事許可なら9万円)です。 更新扱いにはなりません。


一般と特定|下請に出す金額で決まります

区分 条件
一般建設業 下記に当てはまらない場合
特定建設業 元請として発注者から直接請け負った1件の工事について、下請契約の額が5,000万円以上建築一式工事は8,000万円以上)となる下請契約を締結する場合

判定のルール(間違えやすいところ)

ルール 内容
合計額で判定 5,000万円以上とは下請契約額の合計額(税込)です。1件あたりの金額ではありません
元請の材料は含まない 元請負人が提供する材料等の価格は含めません
★下請には不要 1次下請が2次下請に5,000万円以上を施工させる場合、特定建設業の許可は不要です。一般建設業で足ります
自社施工なら不要 いくら大きな工事でも、下請に出さず自社で施工するなら一般で足ります

★3つ目が特に誤解されます。
特定建設業は「発注者から直接請け負った元請」だけに課される規制です。
下請の立場であれば、いくら下請に出しても特定建設業の許可は不要です。

特定建設業は、下請負人の保護を図るために設けられた制度です。
許可を受けると、下請代金の支払期日、下請負人に対する指導、施工体制台帳の作成などの義務が課されます。


特定建設業は要件が厳しくなります

一般に比べて、技術者要件と財産的基礎が加重されます。

要件 一般建設業 特定建設業
営業所技術者 資格/実務経験10年/指定学科+実務経験 のいずれか 一級資格者、または一般の要件+2年以上の指導監督的実務経験(元請で4,500万円以上の工事)
財産的基礎 自己資本500万円以上 など(いずれか1つ) 欠損20%以内 かつ 流動比率75%以上 かつ 資本金2,000万円以上・自己資本4,000万円以上(すべて

★指定建設業7業種は一級資格者が必須

土木/建築/電気/管/鋼構造物/舗装/造園の7業種で特定建設業を取る場合は、
実務経験のルートが使えません。 一級施工管理技士等の資格者が必要です。

専任技術者(営業所技術者)の要件財産的基礎500万円はどう証明する?

そして財産要件は「申請日の直前の決算」で判定されます。
資本金は申請日までに増資すれば足りますが、自己資本4,000万円以上は直前決算で満たしている必要があります。
特定建設業は「思い立ってすぐ取れる許可」ではありません。


どちらを取ればいいですか?

まずは知事許可・一般建設業から、という会社が大半です。

状況 選択
県内に営業所が1つ/下請に大きく出さない 知事許可・一般
県内に営業所が1つ/元請で5,000万円以上を下請に出す 知事許可・特定
複数県に営業所がある 大臣許可

必要になってから特定に切り替えるという進め方ができます。
その場合の申請区分は「般・特新規」です。
業種追加と般・特新規のちがい


お住まいの都道府県の情報

都道府県 ページ
三重県 三重県で建設業許可を取るには

※順次追加していきます。


よくある質問

Q. 知事許可で県外の工事をすると違法ですか?
A. 違法ではありません。営業所の場所で区分が決まるだけで、施工できる地域に制限はありません。

Q. 営業所を1つ増やしましたが、同じ県内です。手続きは必要ですか?
A. 大臣許可への切り替えは不要ですが、営業所の新設は変更届の対象です。新しい営業所にも営業所技術者を配置する必要があります。

Q. 特定と一般を、業種ごとに分けて持てますか?
A. 持てます。ただし同一業種で一般と特定を同時に持つことはできません。

Q. 特定の要件を満たさなくなったらどうなりますか?
A. 更新の際にあらためて判定されます。財産要件を維持できない場合、一般建設業に戻ることになります。

Q. 大臣許可のほうが「格上」ですか?
A. 上下の関係ではありません。営業所の配置による区分にすぎず、許可を受けられる工事の内容に差はありません。