建設業許可の財産的基礎500万円はどう証明する?残高証明書の落とし穴

一般建設業では、①自己資本500万円以上 ②500万円以上の資金調達能力 ③直前5年間の営業実績 のいずれかを満たせばクリアです。多くの会社は②を、取引金融機関の預金残高証明書で証明します。ただし基準日は申請日の直前4週間以内でなければなりません。

5つの要件のなかでは、比較的クリアしやすいものです。
ただし残高証明書の取り方を間違えると、それだけで申請が止まります。 そこだけ注意してください。


一般建設業の要件

次の3つのうち、いずれか1つに該当すればクリアです。

要件
自己資本の額が500万円以上であること
500万円以上の資金を調達する能力を有すること
許可申請の直前過去5年間、許可を受けて継続して建設業を営業した実績を有すること

判断の時点: 既存の企業は申請時の直前の決算期における財務諸表(貸借対照表)
新規設立の企業は創業時の財務諸表で判断されます。

「自己資本」とは、貸借対照表の「純資産の部」の「純資産合計」の額です。
資本金の額ではありません。ここを取り違える方が多いところです。

ハは更新のときに効いてきます。 すでに5年間許可を受けて営業してきた実績があれば、
更新時に改めて500万円を証明する必要がありません。


★イとロは合算できません

これが最も多い誤解です。

自己資本300万円+預金200万円で合計500万円 —— これは認められません。

イ(自己資本500万円以上)か、ロ(500万円以上の資金調達能力)か、どちらか単独で満たす必要があります。
手引にも「イ、ロを合算して認めることはできません」と明記されています。

自己資本が500万円に足りない場合は、ロで証明する——つまり口座に500万円以上を用意する、という進め方になります。


残高証明書の3つのルール

「500万円以上の資金を調達する能力」は、通常、取引金融機関の預金残高証明書で証明します。
(担保となる不動産等を持ち、金融機関から500万円以上の融資を受けられる能力を、融資証明書等で示す方法もあります)

取り方に決まりがあります。

# ルール 見落とすとどうなるか
1 基準日は、申請日の直前4週間以内 古い証明書は使えない。取り直しになる
2 証明書が2枚以上になる場合、基準日を揃える 複数口座を合算するとき、日付がバラバラだと認められない
3 500万円以上であること ちょうど500万円は可。499万円は不可

とくに1が問題になります。

残高証明書を先に取ってから書類作成に着手すると、書類が揃うころには4週間を過ぎている——という失敗が起きます。

正しい順番: 書類をすべて揃える → 最後に残高証明書を取る → すぐ申請

「口座に500万円を用意する」こと自体は難しくなくても、タイミングを外すと取り直しになるので、
申請直前に取るように段取りしてください。


特定建設業の要件(かなり厳しくなります)

特定建設業では、次の3つを「すべて」満たす必要があります。

要件
欠損の額が資本金の額の20%を超えていないこと
流動比率が75%以上であること
資本金の額が2,000万円以上であり、かつ自己資本の額が4,000万円以上であること

判断の時点は「申請日の直前の決算」です。 決算期が未到来の場合は創業時の財務諸表で確認します。

押さえておきたい2点

  • 資本金は、特定建設業の許可申請日までに増資を行って2,000万円以上になれば、基準を満たしたものとして取り扱われます
  • しかし自己資本4,000万円以上は、直前の決算で満たしている必要があります。増資では直前決算の数字は変えられません

つまり、特定建設業を目指すなら「決算を1期またぐ計画」が必要になります。
思い立ってすぐ取れる許可ではない、ということです。


許可を取ったあとに500万円を下回ったら、どうなりますか?

直ちに許可の効力に影響することはありません。

手引にも「この基準に適合するか否かは当該許可を行う際に判断するものであり、
許可をした後にこの基準に適合しないこととなっても直ちに当該許可の効力に影響を及ぼすものではありません」と明記されています。

ただし——更新のときには、あらためて判断されます。

一般建設業であれば「ハ 直前5年間の営業実績」で更新できることが多いのですが、
特定建設業は更新のたびに財産要件を満たしている必要があるため、
継続して4,000万円の自己資本を維持できないと、一般に戻ることになります。


お住まいの都道府県の情報

要件は全国共通ですが、確認資料として何を求められるかは都道府県によって運用が異なります。

都道府県 ページ
三重県 三重県で建設業許可を取るには

※順次追加していきます。


よくある質問

Q. 個人事業主でも500万円が必要ですか?
A. 必要です。個人の場合、貸借対照表の純資産の額、または預金残高証明書で証明します。

Q. 会社の口座でなく、社長個人の口座でもいいですか?
A. 原則として申請者(会社)名義の口座が必要です。個人事業主の場合は事業主本人の口座になります。

Q. 複数の銀行に分けている場合はどうなりますか?
A. 合算できますが、すべての証明書の基準日を揃える必要があります。

Q. 一時的に借りたお金でもいいですか?
A. 基準日時点の残高で判断されます。ただし、実態として資金調達能力があると認められるかは個別の判断になります。窓口にご確認ください。

Q. 新設したばかりの会社でも許可は取れますか?
A. 取れます。創業時の財務諸表(開始貸借対照表)で判断されます。資本金500万円以上で設立すれば、イで満たせます。